人類が食品を加工し始めた歴史は古く、縄文時代のころには集めてきた木の実などを加工する技術が既に工夫され始めていました。人類が食品を加工する目的は、栄養を高めたり、味を良くしたり、安全性や保存性を高めたり扱いやすくするためです。さらに最近では、適正な価格で流通させるために食品を加工するようにもなりました。
以上の目的を実現するために人類はいろいろな方法を試みてきたのですが、その試みは人類の歴史の一部にも直結します。そこで今回の章では歴史と共に人類が編み出してきた食品加工の製法をまとめたいと思います。
詳細は以後の各ページで語りますが、基本的に人類がチャレンジして獲得してきた食品加工の製法は、原理として非常にシンプルです。縄文時代、弥生時代、それ以後も含めて人類はそれほど多くの手段を持たなかったからです。
基本的には以上の方法で食品の加工を試みてきました。どれも歴史の初期から持てた手段であり、その手段を用いて人類は加工食品を作り出してきたのです。それぞれの製法は細かく分類できるので、大ざっぱではありますが、補足説明をします。
人類が歴史の初期から持った食品加工の製法が乾燥でした。具体的な方法としては、
という方法が最初のころは行なわれました。時代が進み、さまざまな技術が進歩してくると乾燥させる技術も多くなってきて、
といった技法も出てきました。いずれにせよ食品を乾燥させて、干物や乾燥食品を作成し、軽量化、小型化した加工食品が次々と誕生しています。
塩で加工食品を作る製法は、かなり古くから世界中で行なわれてきました。食塩濃度が高くなると腐敗をもたらす細菌が増えにくくなるためで、
が生まれました。立塩法は魚などを食塩水に漬ける方法で、まき塩法は魚などに直接塩を振り掛ける方法になります。
Sugaringと呼ばれる製法で、昔から砂糖を用いて加工食品が作られてきました。砂糖の濃度が高過ぎる環境下では微生物が生息できないため、加工食品には最適の製法として人類が編み出しました。
具体的な加工食品を挙げると、ようかんやジャム、甘納豆、カステラ、練乳、砂糖漬けした果物などになります。
酢や乳酸を使って食品の酸性濃度を変える食品加工の製法です。酢酸、クエン酸、乳酸などの有機酸は微生物などが増えないように押さえ込んでくれる効果があります。
具体的にはヨーグルト、チーズ、みそ、しょうゆ、日本酒、天然酵母のパンなどが挙げられます。
人類は煙を使って加工食品を作ってきました。ハム、ベーコン、ソーセージなども煙を使って作られますし、ニシン、タラ、サケ、ウナギなども煙を使って加工食品にされます。
煙で食べ物が乾燥し、食べ物に付着した菌を死滅する効果があります。また食べ物の表面に煙の膜ができるため、食べ物の保存期間が延びるというメリットもあります。
現代人も食品を長期保存するために冷蔵庫を使うと思いますが、温度を下げると食品に付着した微生物が増えにくくなるので、長期間食品が傷まないで保存が可能になります。
温度を上げても食品の保存期間を延長が可能になります。基本的に飲料やレトルト食品、缶詰などの加工食品は保存期間を延長するために一度、加熱処理を行なって微生物を死滅させます。その上で瓶詰めなり缶詰にするので、加工食品を長期間保存できるようになるのです。
人類はその歴史の初期から以上のような加工方法、保存方法を持ってきましたが、技術の進歩と共にその他の加工製法、保存方法も誕生してきました。
などです。複雑な言葉が並びましたが、いずれにせよ上述のさまざまな方法で人類は食品加工に成功し、加工食品を生み出してきました。加工食品の誕生が人類の生活をかなりの部分で楽にさせてくれていますし、豊かにしてくれています。具体的な加工食品のラインアップは以下のページで記します。