日本は地方の文化が豊かで、全国各地にいろいろな文化が花開いています。食文化、加工食品も一緒で、日本全国、その土地に合った形で育まれています。そこで今回は日本の中でも北海道、東北に目を向けます。日本の中でも寒冷地に所属するエリアで、どのような加工食品が作られてきたのか、チェックしてみたいと思います。
意外かもしれませんが、あるいは意外ではないかもしれませんが、北海道や東北地方は加工食品が非常に盛んな土地です。理由は簡単で、寒い冬に作物が育たないため、冬を乗り切るために加工食品が極めて重要な役割を果たすからです。
実際、北海道や東北には、
など特徴的な加工食品があります。冬の寒さを上手に利用して、寒い冬の食糧不足を乗り切る知恵に満ちています。非常に興味深いので、少し詳しく見てみましょう。
凍み野菜といっても、具体的には凍みイモや凍みダイコンなどが有名です。冬の寒さを利用して、食品を長期保存できるようにする加工した食品になります。例えばダイコンなら、
という方法が取られます。生のままだとダイコンは冬の間に腐ってしまいますが、凍みダイコンにすると冬に作った食品が、次の年の夏まで保存ができるようになります。
北海道では凍みイモも有名です。イモはそもそも伝統的な保存食で、北海道のように自然が過酷な地域では、人々が生き延びていくためには不可欠の食材でした。
しかし、ジャガイモも生のままでは芽が生えてきたり腐敗したりで長期保存はできません。その悩みを日本人は凍みイモという形で解決してきました。
以上のプロセスを繰り返すと、乾燥した冷凍のジャガイモになります。この加工食品を凍みイモと呼びます。食べ方は簡単で、食べる前にゆでて皮をむき、米の代わりに食します。米が取れない寒冷地で生き延びるために不可欠の加工食品です。
東北地方では干し果物、具体的には干しリンゴが有名です。農作物として収穫されたリンゴの中から規格外や傷物として出荷できないリンゴを選り分け、スライスして干しリンゴにします。砂糖や香料を一切使わなくてもリンゴ本来の甘みと香りがあるので、非常に美味しい加工食品です。
その他、ナスを薄く切ってむしろに広げ、日光で乾燥させる干し野菜も盛んに作られています。冬の間に作物が作れなくなる寒冷地では、野菜不足が冬季に深刻な健康被害をもたらします。
そこで野菜が収穫できる夏から秋の時期にたくさん干し野菜を作っておき、長い冬に備えるのです。ナスやダイコン、ジャガイモ、カボチャ、ニンジン、ピーマンなど、いろいろな野菜が干し野菜として昔から作られてきました。
基本的にどの野菜で干し野菜を作るときも、加工中に水を寄せ付けないようにすると素早く仕上がります。ぬれた包丁やまな板は厳禁です。
雪の中に野菜や果物を入れて、そのまま越冬させる技術は北海道や東北では盛んに行なわれてきました。雪の中にリンゴを入れたりジャガイモを入れたりして冬を越すのですが、単に保存期間が延長されるだけでなく、おいしさも増すといわれています。
例えば雪の中にジャガイモを入れて越冬させると、その間にジャガイモのでんぷんが糖分に変わり、甘みが増すといわれています。冬に雪の中に入れると次の春から夏に掛けて、非常においしいジャガイモが食べられるのです。
他にはリンゴなども積極的に雪の中に保存されています。リンゴは通常、春まで冷蔵庫で保管すると味が落ちます。しかし、雪の中に保存しておくと、春になっても食感と味が落ちないと分かってきました。
単に雪の中に放り込んでおくのではなく、コンテナにシートを被せ、その上から雪を積もらせます。後は春までその雪の中で保存しておけば、おいしい雪室リンゴの完成です。 もちろん他にも
など、詳しく見ればご当地のいろいろな加工食品はあります。ただ、上述の冬の寒さを利用した加工食品が北海道、東北の古典的な加工食品だといえるかもしれません。
凍みイモなど見た目でためらうような食品もありますが、独特の風味がおいしいので、ぜひとも試してみてください。