加工食品と書いてしまうと何か単純な響きになってしまいますが、加工食品は人類の歴史の一部といってもいいくらい奥が深いキーワードです。そこで今回は加工食品の定義を改めて考え、具体的にはどのような食材のジャンルを持つのか考えてみたいと思います。
加工食品とは岩波書店の『広辞苑』を調べると、食材に手を加え細工をする行為と説明がされています。確かにその通りで、農産物や畜産物、水産物などの食材に何らかの手を加えて細工を施し、生のままでは実現できない何らかの効果を期待する行為になります。何らかの効果とは具体的にいうと、
などを意味しています。食品を加工して栄養素を向上させたり、持ち運びを便利にしたりする狙いが加工食品にはあります。加工を通じて味を変え、腐敗などのリスクを回避し、長期保存に適した食品に変える狙いも当然あります。
ちなみに上述した加工食品の説明は、そのまま人類の歴史の一部と重なる部分があります。人類は火を獲得したときから、食品をより消化しやすく、よりおいしく調理して食べるための工夫を開始しました。その工夫はまさに加工食品の歴史でもあります。
その後、縄文時代から弥生時代に移行するころに人類は、農耕などを覚えました。さらに牧畜、漁労の技術を発展させる過程で、より多くの食品を手に入れられるようになりました。
やがて余剰分の食品を腐敗や虫害などから守り、より長期間保存するための工夫を試み始めます。食料の不足する冬を乗り切るための防衛手段でもあるので、人間は真剣にいろいろな試みを繰り返し、失敗を重ねながら少しずつ保存技術、加工技術を高めていったのです。
その歴史は加工食品の歴史に直結しますし、人類の歴史の一部でもあります。人間は健康を維持し、生命を育んでいくために食物を食べなければいけません。その食物を確保し、食べやすく加工する技術は、まさに命を支えるための切実な防衛手段だったのです。
上述のように人類の歴史と共に育まれてきた加工商品の数は、現在ではかなりの数にのぼります。具体的には、
といった具合です。さらに食材を酒やみそ、しょうゆ、酢などの調味料に変える技術も発達しました。同じ穀物でも加工されて完成する食品のバラエティーはかなりの数があり、1つ1つを正確には列挙できないほどの規模に及んでいます。
逆をいえばそれほど人類は、縄文時代の狩猟・採集の時代から進化してきたといえるかもしれません。加工食品の発展は、すなわち人類の発展でもあるのです。