関東と言っても北から南に広く、気候も歴史も収穫物も大きく異なります。そのため同じ関東地方でもバラエティー豊かな文化が育まれているのですが、加工食品の世界ではどうなのでしょうか? 今回は関東の加工食品について考えてみたいと思います。
北関東と南関東の違いといっても、北海道と沖縄ほどの違いがあるわけではありません。劇的には違わないのですが、群馬や栃木、茨城の北関東と神奈川、千葉の南房総ではやはり加工食品も異なってきます。
北関東は冬になるとかなり冷えるので、その寒さを利用した加工食品が多く、神奈川県や南房総になると温暖で、冬でもそれほど冷え込みが厳しくないので、天日干しの加工食品が多くなります。実際、
など、北関東には冬の寒さを生かしたか加工食品が多く残っており、一方で、
など野菜や魚介類を使った干し食品が南関東では有名です。オーソドックスでありながら非常においしい加工食品です。少し詳しく語りたいと思います。
群馬県の長野原町などで作られている凍み豆腐は、北関東の寒さを利用した加工食品です。節分の前後など、1年で最も寒い時期に作るとおいしくなるといわれているので、夜の冷え込みが厳しそうな日を見計らって、薄く切った豆腐をすだれに並べます。
一晩、野外に放置するだけで豆腐が凍るので、その凍った豆腐をわらで結び軒先の風通しのいい場所に吊るしておきます。完全に乾燥したら完成です。お湯に漬けると30分ほどで元に戻ります。
凍みダイコンは北関東だけでなく、日本のいろいろな寒冷地で作られています。それなりに冬が寒くないと作れないので、北関東も凍みダイコン作りに適した場所の1つだといえます。
凍みダイコンは基本的に作物として形の悪い野菜や出荷できなかった野菜を使って作ります。生ダイコンを洗って皮をむき、2つに縦に割った状態のダイコンを縄で縛って軒下などに吊るします。
保存食として非常に優れているので、冬に作れば春まで安全に食べられるようになります。また、お吸い物などに入れるとだし汁をたっぷりと吸い込んでくれるので、味覚的にも非常に優れた加工食品になります。
南関東は冬でも厳しい冷え込みは少なく、日照時間が長いので干物作りに非常に適しています。特に関東の冬は晴天で湿度が低い日が多いので、干物作りには最高の条件が整っています。一気に干し上げた南関東の干し野菜は、うま味や風味、甘みが凝縮されているので昔からたくさん作られてきました。
干しダイコンにせよ干しピーマンにせよ干しナスにせよ、作り方は簡単です。水気を避けて野菜を細かく切り、一気に乾燥させます。水に漬ければ戻りますし、干しカボチャなどはそのまま油で揚げてチップスにしてもおいしいです。
南関東は先ほども言いましたが、干物作りには最適の場所です。特に冬は晴天が多く乾燥しているので、一気に食品が干上がるのです。短期間で作った方が、うまみが凝縮されるのでおいしいといわれています。
例えば南関東では相模湾で獲れるしらす干しが有名です。その他にもアジの干物、キンキの干物、カマスの干物なども有名です。南関東ならではの海の幸を、気候に合わせた形で加工した代表的な食品だといえます。
関東に住んでいる人でも関東に住んでいない人でも、北関東の凍み食品、南関東の干物を積極的に食卓に並べてみてはいかがですか? その土地、その気候、その風土にあった加工食品が楽しめます。純粋に味もおいしいので、積極的に試してみてください。
また、干物、凍み食品のみならず、
など各地の名産加工品もあります。遠方に住んでいる方は、インターネット通販などを利用するといいでしょう。